名ばかり管理職と実質的管理職の基準

名ばかり管理職とは、管理職という名称をもつ労働者が実質的な管理職とは認められない場合をいいます。実質的な管理職とは、経営に参画している監督的地位にある労働者のことを言います。
法規からの判断とは別に、実務現場おける管理職とはどのような責任を持つ人のことを指しているか、具体的事例を見てみましょう。
民間および行政職の公務員では課長職以上の労働者を一般的に管理者とされていますが、職務の実態がわかりにくい肩書きも増えており、マネージャー、グループリーダー、チーフなど、それぞれ個別で判断する必要に迫られる原因といえます。
そのため具体的に管理職の役割、心得といったものの実際を確認する必要があります。具体的な実務の実際において、役職に求められる能力とはどのようなものと認識されているか見てみましょう。
『企業と人材』2008年1月5日・20日号(産労総合研究所)によると、2007年10月から11月にかけて調査した結果を発表していますのでこれを参考にしてみます。
部長に求められる能力は、ビジョン・政策立案力、戦略的思考、リーダーシップで、部長職につくまでの年数は平均24.7年
課長に求められる能力は、部下の管理・育成能力、リーダーシップ、問題形成・解決能力で、課長職につくまでの年数平均16.9年
係長に求められる能力は、業務の遂行能力・知識、コミュニケーション能力、問題形成・解決能力で、係長職につくまでの年数平均10.5年、という調査結果です。
実際の職場における管理職がこのように認識されていることを前提としたうえで、この実務上の認識と法律上の解釈の両面から判定することになります。つまり、判定の実際では、個別の「管理職」労働者が「名ばかり管理職」か「実質的管理職」かについては個別の職務実態を見ながら判断してゆくことになるわけです。
名ばかり管理職が問題とされるのは、管理職には労働時間、休憩、休日の規定が適用されないという形式上の文言に着目した経営者が、上述のような能力、権限を持たない労働者に管理職の名称をかぶせ、残業手当、休日などの適用を逃れているのではないか、という点にあります。
名ばかり管理職と認定されるケースも、それぞれの具体的職務の実際に応じて千差万別となりますが、労働基準法の規制を逃れるための管理職扱いによって、人件費の削減を目的とした長時間労働、残業代支払逃れが進み、訴訟などでも悪質とされる例が明らかになることもあります。
一部上場企業でも「名ばかり管理職」というグレーゾーンをもつ企業は少なくないと思われますが、いわゆるサービス残業など、労働者が異を唱えるには企業規模や、労働者の意識なども絡んで、問題をすべて画一的に論じられないことが複雑さを増すことになっています。

運営者情報

当サイトはリンクフリーです。
相互リンクにつきましては、現在のところ中止しておりますが、今後当サイトの内容と関連するサイト様の募集を検討させていただいております。決定次第連絡先を掲載する予定です。

inserted by FC2 system