名ばかり管理職の判例の争点

名ばかり管理職か、あるいは管理監督者とされるか、実質的な判定基準を法律上、実務上の両面からまとめて見ると、労務を管理する立場にあるかどうか、経営者と同じような立場で判断できるかどうか、勤務時間や休暇などの規定にしばられない立場にあるかどうか、一般社員と比べて管理職手当など賃金面で優遇されているかどうか、などが挙げられます。
「名ばかり管理職と実質的管理職の基準」で見たように、部長職にはビジョン・政策立案力、戦略的思考、リーダーシップが求められ、課長職には部下の管理・育成能力、リーダーシップ、問題形成・解決能力の能力がある者とされるのが実務世界の実情ですから、部下のいない管理職、勤務時間、休日などが決められている管理職は、名ばかり管理職といえます。
名ばかり管理職の訴訟事例についてはこれから細かく争点を見て行きますが、管理職の実際が「名目上」か「実質上」かの判定が争点になった訴訟のうち、最近のものを見てみましょう。
残業手当未払いの支払い請求を求めた例。
日本マクドナルドの店長が未払い残業代と慰謝料を請求した事例で、東京地裁は日本マクドナルドに対し約750万円の支払いを命じました(2008年1月)。名ばかり管理職かどうかが争点となった事例ですが、対象となったマクドナルド店長には管理職といえる条件が満たされていないと判断されたため、日本マクドナルドが敗訴しました。日本マクドナルドには約1700人の店長がいるため、この後の経過次第では経営にも影響が出てくるといわれています。
コナカは紳士服チェーンの大手ですが、元店長がコナカの未払い残業代について労働審判の申し立てを行いました。このケースではコナカが解決金として600万円の支払いで合意しています。コナカはこの後、全ての店長を管理職から外すという事態に進んだようです。
ミドリ電化は、家電量販チェーン・エディオンの子会社ですが、残業代の未払いが37億円に上ることが判明しています。この事例でも、名ばかり管理職と判定された者が約700人あり、その未払い残業代は15億円と認定されています。

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